八戸市役所の頭脳、逸材の男、癌になり辞職
八戸市役所に40人の逸材がおられる。物事を正確に把握し判断力に優れた人物。
あとは十把一絡げ、その人物が突然辞職。
何の話も聞かされてなく、どうして、なんで、サヨナラの一言もなく去ったのか。
左腕をもぎ取られた思いをしばらく抱いた。
こちらが思うほど、相手は思っていない。これが現実。
癌患者爺ィになって知り得た事がある。
それは必ず形あるものは壊れるということ。
それが、八戸市民病院で余命三ヶ月の宣告。
何をしに、この世に生まれたのかの根源をつきつけられた。
何も考えずに、昨日も元気、今日もなんとか生きてると日々を送りに送った。
馬齢を重ね、市役所は市民に役だっているのかの探求で10年を過ごした。
解決できたこともあるが、いずれも小さなことの積み重ねで、市役所からは厄介者と呼ばれた。
形が消える前に、自身が幼い頃食えない時を過ごし、道ばたのあめ玉を蟻を追い払って食った。回虫が湧いた。
芋俵が配給を待ち野積みになっていた。俵の隙間から手を入れて盗んで食った。どこにいちじくがあり柿がなると頭の中にあり、よその家の物も自分の物だった。
そんな、子ども時代と同じように腹をすかせてる存在を知り、なんとかしなければと思って、今日も市役所を廻る。
そんな折り、声をかけられた、突然姿を消した逸材男だ。
大腸癌になり辞職とのこと、生きていたんだ、良かったと思った。人はこの世にいさえすれば、何かの役に立てる。
優秀な頭脳を市民のために役立ててもらえる。有難かった、嬉しかった。
元気そうで何よりだ。
死ぬまでは生きている。何を考えたかではなく、何をしでかしたかが問われる。
一粒の麦、もし死なずばただ一つにてありなん、死なば多くの実を結ぶべし。
死ぬまでが勝負、互いに残りの時間は見えた。
死に物狂いでやるだけだ。