孤独死撲滅。本当に可能なのだろうか 3
自治体の職員から聞いた話では、"引き取り拒否"による無縁死が急増している背景には、家族のあり方の変容が大きいという。
昔は三世代が一緒に暮らす「三世代同居」が当たり前だった時代から、「核家族化」の時代へ、そして今ではひとり暮らしの「単身化」の時代へと移り変わってきた。さらに、「未婚化」、「少子化」が進んだことで、結婚していない人や、結婚していても子どもがいない人が増え、こうした人たちが亡くなった場合、その引き取りは甥や姪に依頼せざるを得ないという。しかし、甥や姪からは「冠婚葬祭の場でしか顔を合わせたことがない……」とか「もう二十年以上音信不通、今更お骨を引き取ってくれと言われても困ります」
誰もがこうした事態に直面する。
「家族って一体何なんでしようね、薄れる家族のつながりですかね……」
「単身化」、「未婚化」、「少子化」といった家族のあり方の変容が、「無縁社会」の拡大を推し進めている現実。
甥や姪による〃引き取り拒否"。この話を聞いた時、私たちは一概に、甥や姪がひどい人たちだとは思えなかった。なぜなら、自分の身に照らし合わせてみた時、二十年以上も会っていない、冠婚葬祭の場で顔を合わせた程度の叔父や叔母の遺体を、突然、引取ってくれと電話がかかつてきたとしたら、どうしようと、考え込んでしまって、即答できない。
結婚していない親族や、結婚していても子どもがいない親族は、きっと見回せば自分たちの親族のなかにも一人や二人はいるのではないか。とすれば、自分たちにも「あなたの叔父さんが亡くなられて……」といった電話が自治体:から突然かかってくる可能性は、十分に起こり得る。だからこそ、「無縁社会」の病巣の根は深い。