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登場人物
1おまさ
2瀬戸川の源七
3相模の彦十
4長谷川平蔵
5二代目狐火勇五郎
6勇五郎の弟文吉
7お静の子・お久
場割
1場 中川・新宿の渡し
2場 役宅
3場 市ヶ谷八幡境内・料理茶屋万屋
4場 役宅
5場 本所・四つ目裏長屋 彦十宅
6場 中川・新宿の渡し
7場 中川・新宿の渡しの対岸・亀有側
8場 中川・新宿の渡し
9場 綾瀬川 狐火の隠れ家
鬼平犯科帳の面白さは元悪党・盗賊を密偵として自在にあやつる点にある
ここが、他の捕物帳と違う
取締側、捕らえられる側、その両面から物語をつくるところに、鬼平犯科帳の醍醐味がある
密偵が男ばかりでは潤いがないと、池波が生み出したのが、元盗賊の鶴の忠助の娘
これが、長谷川平蔵に思慕を抱く少女
成人させ、長谷川平蔵のもとで密偵として働くといわしめる
ここが、池波の凄さ
このおまさに池波は肩入れをしそうだが、存外冷静に、おまさを見る
その筆致が、実に巧み
このおまさが登場しなければ、存外、乾いた悪漢小説になったことだろうが、おまさが登場することで輝きが出た
それも、この狐火に凝縮される
相模の彦十、この男なしに、鬼平犯科帳は始まらない
長谷川平蔵と昔なじみ、おまさとも彦十は馴染みだ
その、彦十がおまさを裏切り、長谷川平蔵に忠節をつくすのが、この巻
その会話が三人の情を現す
「すまねえ、すまねえ、いやもう、まったく、まあちゃんにはすまねえことをしてしまったよう」
と、相模の彦十が泪さえうかべて、平蔵にかきくどいている。
「彦よ。お前のしたことは間ちがってはいないのだよ」
やさしく、なぐさめた。
「どうにもあらあ、何度もあぶねえところを助けてもらったお前さんに、そむけなかったのでござんすよ、長谷川さまよう」
「わかった、わかった……」
「そのかわり、まあちゃんを裏切っちまったよう」
「よし、よし」
「て、銕つぁん……」
いきなり、彦十が平蔵の若き日の名を呼び、平蔵の胸倉をつかまぬばかりの血相となって、
「いあやさ、長谷川さまよ。事のなりゆきがどうなろうと、今度は、まあちゃんの顔をたててくれねえじゃ、このおれが、おさまりませんぜ」
と、いいはなった。
長谷川平蔵は、彦十の老顔をぬらしている泪を手ぬぐいでふいてやり、苦笑まじりに、こういった。
「彦よ。むかしむかしの本所の銕のころから、このおれのすることに、お前、一度でも愛想がつきたことがあったかえ、どうだ」
長谷川平蔵、男でござる
池波は胸をはっていいたかった
実にうまい台詞まわしだ
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