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温泉津と書いて湯の津と読む、ここから石見銀山の銀を海上輸送した。江戸より前の話だけに、道は狭隘、そこに温泉宿が建つから狭さも狭しで、車は一台しか通れない。こうした昔ながらの湯が多い。結句、人が来なくなる。大型客舎の当世風団体客収容宿で、バス乗り込みの出来るところが生き残った。
ところが福島の飯坂温泉は総崩れに凋落、町は半分壊疽、八戸の町に似ている。無料駐車場を整備することなく、町のわずかな駐車場経営者に引きずられ、町全体を衰亡させたのは無能商工会議所にほかならない。
温泉津は海型の温泉だけに、塩湯、汚らしい町並みがうねうねと続くなかに、妙好人の生家を見つけた。妙好人とは行状の立派な念仏者。特に浄土真宗で篤信の信者をいう。
柳宗悦が書いた妙好人の才市、石見の才市とも言う、無学ではあったが、阿弥陀仏の世界を強く感じておられた。見えない浄土、されど、それが眼前にあると言い切る強さを、時折、無学の人に見る。彼らにとって、現世は修行の場、存在の実存を感じているから、毫も(ごうも・すこしも)それを疑わない。死ぬまで騙されていれば、それは騙されてはいない。しかし、才市は騙されているのではなく、目の前に阿弥陀仏がおられ、それと共に生活をされた。えせ坊主が学問の智恵の棒を振り回すのではなく、真に阿弥陀仏と共に暮らした。こうした人がいるぞと、柳宗悦は教えた。
この才市に温泉津で出会えたのも旅の大いなる楽しみじゃて。
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