この妻神というのは押し出しは十分だが、肚の欠けた男で、今なお商工会議所に足を運ぶ、なにやら町つくり会社とかに潜り込んだようだ。
肚のない男には大きな仕事はできない。が、人材不足なのだろう、チマチマした仕事には向く。
さて、
後村に頼まれた田向の処理は首尾良く終了した。頼むけど頼まない仕事は成就し、役所は面目を保った。
八戸に劇団「やませ」というのがあり、八戸人を様々に紹介。素人集団で年一回の公演が脈となり、八戸の文化を支える。小寺先生が八戸に演劇の文化を植えた。
ところが、公演を黒字化するのが至難な技だ。
そこで、頼むけど頼まない小川は後村に、このやませの切符100枚を売ってくれるように頼んだ。八戸の文化を守るためにだ。無論、小川はプレイガイドではないから、売れたからとて手数料は貰わない。
自分ができないことを他人に頼む。
世の中にはこうしたことが多い。弁護士などがそうした業種だ。
優秀なのに頼むと、ことは100%成就する。
そこで小川を巧みに使った後村に切符販売を願った。