特集 八戸裏面史 いかさま名誉市民鈴木継男を通して見た八戸 その3

「ナショナルと警察を敵にした男」

(三一書房)の著者が明かす事件の本質 
 私が小林氏と初めて会ったのは、今からもう12年も前である。当時私は時事通信社の社会部記者をしており、旧通産省記者クラブ社会部分室に詰め、原発問題や公正取引委員会、消費者問題等を主に担当していた。お世話になった弁護士から、小林氏が遭遇した複雑怪奇な事件のことを知らされ、何とか力を貸してくれないかと頼まれたため、彼に会って話を聞くことしたのである。
 その時彼の口から出た言葉はあまりにおどろおどろしく、いかにも荒唐無稽で、正直言って私は辟易した。何しろ、彼が経営していた電気器具の激安店マンデーはナショナルに目の敵にされ、小林氏が雇った同社相談役が実は事件屋でナショナルに逆利用され、暴力団を操ってマンデーを潰した。さらにはその相談役は警視庁公認の詐欺師でもあり、マンデーの金を引き出しては警察幹部を赤坂の料亭で接待していた。しかもマンデーの顧問弁護士までもがナショナルと通じ、「このままでは命が危ない。暴力団の嫌がらせから逃れるにはマンデーを倒産させるしかない」と倒産を薦めたというのだ。当初私はこの男は、少し頭がおかしいのではないかと疑い、この胡散臭い話には乗らないことにし、弁護士先生に何故取材しないことにしたか、その理由をどう説明するか、そればかりを考えていた。
 と、間もなく小林氏から2度目の電話があった。「お見せしたいものがあるので、もう一度あって欲しい」。私は気乗りがしなかったが、もう一度会うことにした。彼が案内したのは都心にある某大銀行の地下にある貸金庫だった。
 貸金庫の中にあったのは、ナショナルのFF式温風暖房機「はるる」が欠陥商品であることの証明につながる偽造された覚書や詫び状、くだんの相談役と警察の関係を物語る約300枚の名刺、警察幹部が芸者衆と踊りに興じている料亭でのスナップ写真など、写真週刊誌なら飛びつきそうな貴重なものばかりであった。「もし私に何かあったら、これらの資料を公開してもらうようある人に頼んでいます」。真剣な表情で訴える小林氏の話を聞いて、「これは本物かも知れないな」と思い、私は取材を始めることにした。
 そして案の定というか、事件に登場する関係者は、全否定するか、逃げ回るかのどちらかで、取材は最初から困難を極めた。私は警察や暴力団絡みの話は後回しにして、焦点を「はるる」が果たして欠陥商品であったかどうかにしぼり込んで、関係者や関係団体、会社に片っ端から当たった。その結果、
小林氏の証言通り、松下電器が定価のわずか37%以下という破格の値段で代理店、それもナショナル系列下にない代理店に卸し、小林氏がリコールを要求すると、解決金として1,500万円を払ったことにして、一件落着をはかったことが、紛れもない事実であることが判明した。
 もし、「はるる」が欠陥商品でなければあり得ない話であり(八戸市まで出向いたナショナルの技術担当者らは、「はるる」が欠陥品であることを明確に認めている)、松下電器とその代理店・八戸液化ガスは、小林氏の口を封じるために、解決金を支払ったことにして、お茶を濁そうとしたのである。
 この時点で私は原稿を書き、「
『はるる』が欠陥商品であり、ナショナルはリコール要求に応えず、八戸液化ガスと共謀して解決金を出したことにして蓋をした」とする私の記事は翌日の東京新聞などに掲載された。記事がもし事実無根ならば、松下電器側から抗議され、場合によっては名誉毀損で訴えられてもおかしくはなかった。だが、松下電器と八戸液化ガスからは抗議の電話一つなかった。彼らは「はるる」が欠陥商品であることは十分認識していたがために、抗議できなかったのである。
 問題はそれからである。マンデー倒産劇の序章とも言うべき「はるる」の欠陥問題はクリアできたが、ナショナルが事件屋と暴力団を使ってマンデーを潰したという小林氏の言い分は果たして本当なのか。捜査権のないブンヤの取材には限度がある。小林氏の言い分が本当だとしても、それを裏付ける証拠を探すことは不可能に近い。私は頭を抱えながらも、とにかく可能なかぎり動き回ることにした。当たって砕けろだ。こうして取材は事件の核心に向けて本格化した。その取材中に実に様々なことが起こり、私はこの国の深い闇を目の当たりにしてしばし、立ちすくんだ。本インターネットにアクセスした読者の方に、マンデー事件の本質を理解していただくために、ごく大雑把な事件の概要と背景をまず記したい。


by jpn-kd | 2017-05-15 00:00 | いかさま名誉市民
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