政調費8100万円返還確定 最高裁、愛知県の上告棄却
愛知県が県議会3会派に交付した政務調査費(現政務活動費)が車のリース代や事務所の家賃などに使われたのは違法だとして、名古屋市民オンブズマンが各会派に返還させるよう大村秀章知事に求めた訴訟で、最高裁第一小法廷(小池裕裁判長)は、知事側の上告を棄却する決定をした。15日付。交付した全額の約8100万円の返還を各会派に請求するよう知事に命じた二審名古屋高裁判決が確定した。
市民オンブズマンが問題としたのは、2009年度に自民党、民主党(現・民進党)、公明党の各県議団に交付された政調費のうち、県議82人の事務所の家賃や光熱費、車のリース代。
14年1月の一審名古屋地裁判決は「調査研究活動と、その他の議員活動の双方に使われており、政調費を充てるのが許されるのは一部」などと指摘。約2800万円分を違法と認定し、各会派に返還請求するよう知事に命じた。
一方、15年12月の二審判決は「法律が定める調査研究に必要な経費に該当しない。特別の事情が存在したと立証できない限り、政調費としての交付は認められない」と判断。市民オンブズマン側の主張を全面的に認め、知事に命じた返還請求額を、交付した全額の約8100万円とした。
政調費を巡っては、12年の地方自治法改正で政務活動費に名称が変わり、使途が従来の調査研究に加え「その他の活動」にまで拡大。「その他」の具体的な内容は、各議会が条例などで定めるとしている。
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大村知事は「政調費の趣旨を適正に判断したとは言い難い高裁判決が確定したことは誠に遺憾だが、最高裁の最終的な判断として結果を受け止めざるを得ないと考えている」、愛知県議会の鈴木孝昌議長は「誠に遺憾。今後、各会派で政調費の返還に向けた手続きが進められると認識している」とのコメントを出した。
(中日新聞)